「イスラエルは100人以上のパレスチナ人ジャーナリストを殺害した。その多くは標識のついた報道車両での移動中、あるいは報道のジャケットを着用しているときをねらった暗殺だった。ジャーナリストの殺害は国際法上の戦争犯罪である」
2024年8月11日、オーストラリア出身のピアニストジェイソン・ギルハムのためオーストラリアの作曲家コナー・デネットが書いた新作「Witness」(=証言)という短い作品の演奏に先だち、ギルハムが上記スピーチを行ったところ、8月15日に予定されていたメルボルン交響楽団との共演を降板させられたという話です。モーツァルトの協奏曲がベートーヴェンの交響曲8番に差し替えられたとのこと。
本人は「いってはいけないこと、やってはいけないことは何も知らされなかったし、作品を紹介するのは普通のことだ」と語っています。
オーケストラからの反応は「Witnessはギルハム氏の要望で演奏されることになっていました。短く瞑想的な作品であると聞いていたところ、ギルハム氏はオーケストラの承認や許可を得ず、個人的な政治的見解を述べました。私たちは個人的見解を表明する場として、私たちのステージを試用することを容認しません。ギルハム氏の発言が不快感と苦痛を与えたことを理解し、心からのお詫びを申し上げます。私たちは人道、平和のためすべての公演がすべての人に歓迎され安全な場となるよう努めます」。
不寛容なのか、当然なのか。
このリサイタルはイワキ・オーディトリウムで開催されたと書いてあって、一瞬、なんでいわき?オーストラリアにいわきっていう地名があるんか、と混乱したんですが、そういえば岩城宏之がメルボルンで指揮者してたなと思い出しました。このホールは岩城宏之の名前を冠している(1974年からメルボルン交響楽団首席指揮者、1987年から終身桂冠指揮者)。
もし、岩城宏之がその場にいたらどう反応したでしょう。そう軽々しく判断出来ることではないと思いますが、さすがに降板までには至らなかったのでは、と想像するのは甘いでしょうか。
追記:オーケストラがこの降板は「誤り」だったと謝罪したというニュースが出ていました。ギルハムは謝罪を受け入れ、コンサートは改めて別の日に開催されることになるようです。
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