クリーブランド管弦楽団がマーラー交響曲第2番の自筆譜をゲット

マーラーが1888年から1894年にかけて完成させた交響曲第2番の自筆譜のお話です。マーラーの2番と言えば、一昔前にギルバート・キャプランっていう人がいましてなぁ、と思っていたらやっぱりギルバート・キャプランが所有していたスコアだそうです。キャプランって言うマーラー2番に入れあげた変態ビジネスマン(褒めています)について昭和世代の我々はそこそこ知っているけど、知らない方も多いと思うんで、ぜひWikipediaへ行ってきてその変態っぷりに卒倒してください。アルマ・マーラー→メンゲルベルク→メンゲルベルク財団→ギルバート・キャプラン→そして・・・・

キャプランが2016年に亡くなり、その後11月にサザビーで開催されたオークションにおいてオーストリアのメディア関係者、ハーバー・G・クロイバーという人が匿名で560万ドル(当時のレートでだいたい6億1000万円ぐらい)で競り落としてたのですが、それをなんとこのたびクリーブランド管弦楽団に寄贈したということであります。

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Mahler’s ‘Resurrection’ Manuscript Settles in Cleveland (Published 2022) The Cleveland Orchestra has been given the autograph score, which was sold at auction to a previously anonymous buyer for $5.6 million.

https://www.cleveland.com/entertainment/2022/09/cleveland-orchestra-receives-autograph-manuscript-of-mahlers-symphony-no-2.html

状態は非常によいとのことであります。皆様が丁寧に扱われたのでしょう。虫食い、シミ、破損等はないのでございましょう。鉛筆で書かれたメモ、青や紫のインクで書かれた指示、消しゴムや修正の跡などがあるそうでございます。ページ全体を別のページの上に貼り付けているところもあるそうでございます。めちゃめちゃ想像力をかき立てられる。

なぜマーラーにゆかりのあるウィーンの団体、例えばウィーン・フィルとか、ウィーン国立歌劇場とか、あるいは広大な書庫を持つという噂のウィーン楽友協会とかに寄贈しなかったのか。アメリカにしても、なぜマーラーがポジションを持っていたニューヨーク・フィルでもメトロポリタン歌劇場でもなくクリーブランド管弦楽団なのか、という疑問はございますが、まあ、大人の事情がいろいろあったんだろうなと想像するのでございます。みなさん大人ですから。

クロイバーさんは「クリーブランド管弦楽団のユースプログラムへの取り組みを賞賛して2010年から理事を務めている」ということであり、ウェルザー=メストとも仲良しなんだそうで、そういう理由もあってクリーブランド管弦楽団にしたのでしょう。たぶん。

明日あさって開催されるクリーブランド管弦楽団のコンサート(もちろん演目は「復活」)においてホールで無料公開されるとのことで、生マーラー2番を見られるまたとないチャンス。自分がクリーブランドに住んでいたら喜び勇んで見に行く。夢が広がる話ではないか。

残念ながらネットで誰でも見られる、ということにはならなそうな感じです。

マーラーや、ああマーラーや、マーラーや。

一句出来ました。

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