これ以上適切な場所もないなと思ったんですよ。浜離宮朝日ホールっていうのは朝日新聞の本社の中にある。つまり日本語という言語の専門家たちの集う場、そこで日本語のお勉強をするなんて、なんてタイムリー(タイムリー?)。なんたる幸せ。僥倖。ワッショイワッショイや。
なお本人はいたってポーカーフェースである。
昨日は舞台袖でカタカナの読み方を教えて差し上げたんですよね。スクシェチュコフスキ。一文字ずつ音があってね、これはチ、ちっさいュがついたらチュだ。マチェイのチェ、ェは形はそっくりだが音が違うんだ。
ここに至って、にやりと笑うスクシェチュコフスキ。もっぱら「読めない」と話題沸騰の名字だが、スクシェチュコフスキとカタカナで書いてそれを日本人が発音する、それがもっともオリジナルのポーランド語に近いのだそうだ。私たちは万歳三唱したのであった。君は日本とポーランドの架け橋だ。
スペルがそもそも限界を突破しているよね。Skrzeczkowski。ポーランドのお名前は強烈なことが多いんだよ。簡単なお名前もあるけれど、読めない系のお名前も多い。アルファベットで考えるとだめなんですよ。なので、カタカナでやるといい、と。
そして舞台袖のあちこちで名刺交換が行われているのを見て、あっ、自分も、と胸ポケットから名刺を取り出して(ちゃんと入れているあたりが非常に高得点だ。あとは名刺入れを買えばパーフェクトだ。いや、モア・ザン・パーフェクトだ)、やおら両手で持って、はいっと、渡したではないか。うそやん、渡し方上達してるやん!!
欧米人は、日本では名刺なるものがあって、ネームカード交換するのがトラディショナール、というところまでを知っている人は少なくないが、そういう人でも、ほいっと投げるように渡してくるパターンも多く、脇が甘いな、ワトソン君。私はそういう時に意味不明な優越感を抱くのだ。だが青年は両手で持って軽く腰を折り曲げながら、浜離宮朝日ホールK氏に手渡したではないか。私のちっぽけな優越感を粉々に砕いてくれた!!(屈んだのは現実的に背が高すぎるからという理由かもしれない)
演奏の切れ味の鋭さのみならず、このように自分とは異なる文化に寄せてくる、しかも急速に寄せてくるとは、やはりこの男ただ者ではないな、と私は両手を叩いて喜んだのであった。
では次の問題。その音は、叩いた手の右手から出ているのか、それとも左手から出ているのか。
・・・・・・これはさすがに難しすぎるんちゃう?
※今日の所沢公演のチケットは完売しています。4/10水の東広島公演も完売です。どうしても聴きたくなったあなたは明日の秋田アトリオン公演へ!
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