思い切った決断をしたんだろうなと思います。あるいは、もうくたくたに疲れちまったんだよ、ここらでそろそろ気分を変えたい、と思ったのかもしれない。ひょっとするとその両方かもしれないし、さらにもっと異なる深い理由があるのかもしれない。
アリサ・メヴェスと読むのでしょうか。Alisa Mves。ロシアの巨人指揮者ヴァレリー・ゲルギエフの個人秘書を30年もの長きにわたって務めていた女性がイスラエル・フィルのヘッド・オブ・アーティスティック・オペレーションという職についたそうです。なんやなんや、どうしたドヤドヤ。
Israel Philharmonic Orchestra hires assistant of former Putin confidante as new head of artistic operations – Jewish News Syndicate
https://www.jns.org/israel-philharmonic-orchestra-hires-longtime-assistant-to-classical-musics-new-international-pariah/
この職がなんなんかというと、色々やるやで、ということのようですけれど、ブッキングとかスタッフ採用とか、あるいはマーケティングとか資金調達とか、わりと幅広く責任をもってやるということではないか、とのことです。
そして「これは一体どういうことか」と噂が飛び交っていて、ゲルギエフを西側に呼び戻す布石だとかいう人もいれば、サンクトペテルブルクでの職を離れて数ヶ月以上経っていて政権とかとは無関係、そもそもめちゃくちゃ優秀な人、というコメントもあります。ロシア政府に近かった人物を雇うなんて言語道断、恥ずべき決断という否定的意見があれば、専門知識とエネルギーに満ちている、イスラエル・フィルは賢明な選択をした、という肯定的メッセージもあります。
普通に考えて30年間もゲルギエフという超人(文字通り超人)のアシスタントとして仕事をしていたという事実は、それだけをとってみてももんのすごいすさまじいことで、めちゃくちゃに優秀な人なんだろうなあということがわかる。誰よりもずばぬけて忙しかった天才のそばで仕事をするっていうのは本当に並大抵のプレッシャーじゃないし、期待値もめちゃくちゃ高いはず。そして本当にずっとうまくやっていたわけでしょう。とんでもないことですよね。
その職を離れ、ロシアも離れ、テルアビブに行くという決断を下したのはなかなかに重たい。オーケストラも劇場も、結局は人間、ソフトなんですよ。素晴らしい人材がいれば発展していく。そうでなければ、ゆがみやひずみが生まれ沈下していく。
イスラエル・フィルの将来に燃えるような成功が待っていることを期待したい!ベハツラハ!(頑張ってください!)
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