あらゆる人に音楽を。これはともすればありがた迷惑という風にもなることもあるかもしれませんけれど、しかし、聴きたいと思う人がいてくれて、それが何らかの事情でかなわなくて、それがかなえられて喜んで貰えるのであれば、それはとても素晴らしいマッチングです。
刑務所で生演奏というのは時折話題になりますけれど、それでもそうそうないことかもしれませんね。このたびフィリッポ・ゴリーニはアメリカの複数の刑務所で演奏した。これは本人の長年の願いだったそうです。いろいろな場所で試みてきたが、アメリカのオレゴンでその機会が生まれたということなのだそうです。
なぜ刑務所で演奏したいと思ったのか。それはやはり、音楽が好きな人たちに音楽を届けたいから。「この音楽は私たちの魂の最も傷つきやすい部分に語りかけます。すべての人に届けられるべきものです。私は、音楽は耳を傾ける必要のあるすべての心に届けられるべきだという信念を持っています」
刑務所というと(想像でしかありませんが)殺伐としていて、喜びや楽しみ、そういうものがないかほとんどなく、更生という目的がある施設とはいえ、果たしてどこまでそれが機能しているのだろうか、という感覚は誰しも持つものかもしれません。今日はピアニストがきてクラシック音楽を演奏するよ、と言われてすべての人が喜ぶ訳ではないでしょう。でも、聴きたい!と思う人もまた確実にいるでしょう。あるいは、興味ないけど聴いてみたら感動した、という人だっていると思います。
ゴリーニはそこでベートーヴェンのソナタ31番を含むプログラムという、いってみれば本格的で、最後にはフーガがある、やや難解とも感じられる曲を演奏したということですが、ある囚人は、こんな機会は二度とない、と語ったとそうです。囚人の心に届き、心を動かしたのだろう。とても意味のあることのように思います。
ある刑務所ではレッスンも行い、感謝の手紙も受け取ったとあります。このような活動は誰にでも出来ることではないと思いますが、使命感を持つゴリーニと、その考えに共感し実現にまで至らせた関係者の熱意が素晴らしいと考えます。
毎日、自分に出来ることをやる。こつこつやる。やりましょう。


コメント
コメント一覧 (1件)
クラッシックではないですが、BBキングやジョニーナッシュには刑務所コンサートの名盤があります。杉良太郎さんを始めとして芸能人・落語家の刑務所慰問は聞く話です。ゴリーニさんの行動は素晴らしいものだと思いますが、オレゴン州の地方紙とはいえクラッシックならニュースになるのかと少し意外でもありました。