ボキー!!
うっひょ・・・・。
みんな凍ったと思うんですよね。5月10日水曜日、イギリスのボーンマス交響楽団のコンサート。指揮者はキリル・カラヴィッツで、ヴァイオリニストはステファン・ジャッキーウだ(Stefan Jackiw、ジャッキー、ジャッキーヴとも。1985年アメリカうまれ。母は韓国、父はウクライナ出身)。グリエールのヴァイオリン協奏曲を演奏中にソリストのヴァイオリンの弓が折れた。ボキー!!
なお指揮者はウクライナ人、ヴァイオリニストもハーフのウクライナ人、そして作曲者もウクライナ人、ここにウクライナの黄金のトライアングルが完成や!!行けウクライナ!!
ヴァイオリンの弓って、シンプルな形をしてますけど、信じられないぐらいお高いんですよ。ステファンが使っていたのはフランソワ・ニコラ・ヴォワランというパリの製作家が19世紀に作った弓で、その価格なんと!およそ3万ドル(約400万円)!!どっひゃー。桁、間違ってないからね。すごいね。グランドピアノより高いからね。
演奏中に弦が切れるっていうのは時々ありますけれど、弓が折れるっていうのは初めて聞いたような気もしています。本人も初めてのことだったそうです。ちなみにこの弓は20年使ってきたんだとか。
その瞬間の動画があって、動画ではどう折れたのかまでは見えないけれど、とりあえず毛がぶわっとなっていることからなにがしかのトラブルが起こったのだということはわかる。なお本人によりますと先端の方が折れたんだそうです。
およそ50秒の動画を本人がYouTubeに投稿しているのでその瞬間を見て息を呑んでください:
しかも特別猛烈な、弓に負担のかかるような場所でもなさそうというところも興味深い。指揮者も気がつき、音楽を止める。しかしソリスト(ステファン・ジャッキーウ)はすぐにコンサートマスターから弓を借り受け、演奏を再開する。
実際に折れている弓の写真は↓のストラド誌に載っているので、怖い物見たさで見てきてください。
Violinist Stefan Jackiw’s bow breaks mid-performance – The Strad
https://www.thestrad.com/video/violinist-stefan-jackiws-bow-breaks-mid-performance/16505.article
ではコンサートマスターの弓は?安心してください、ちゃんと替えがどっかから出てきます。なのでコンサートマスターも持ち替えて演奏続行します。演奏終了とともに沸く聴衆。
そうですよね。これはハプニング。みんなハプニングが大好き。しかもそれを乗り越えなんかうまくやったぞ!という快感はもっと大好物でしょう。
ウオー!ドンドンドン!(足を踏みならした音)とやりたくもなろうというもの。
「ステファンは一夜にしてヒーローさ」(肩をすくめながら、満面の笑みで)
「その晩のステファンはヒーローだったのよ」(遠い目をしながら)
半世紀後、老人になった目撃者は若者たちに向かい語り続けるのである。インターネットがどれだけ発達しようが「その場にいた」という言葉の持つ力の破壊力はインターネットにはない。
問題の折れた弓はどうなるのか?400万円がパーか?安心してください、直るそうです。よかったすね。
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