生後間もないベビーちゃんと一緒に演奏旅行をしているカティア・ブニアティシヴィリ。演奏中に赤ちゃんの泣き声がステージに聞こえてきた、という話も最近ありました。実にラブリー。
コンサートホールはしっかりとステージ上の静寂が担保されているところが多いですが、そうでもない場所もけっこうある。私もホールで働いていたとき、とあるマネージャーが舞台袖で派手にくしゃみをしてそれが客席に思いっきりもれたこともありました。「ごめんなさい」って言ってましたけど、静かな音楽の最中に無防備にくしゃみをしたので丸聞こえ。ま、そういうこともあります。「くしゃみが聞こえたようだ」というお言葉を終演後に頂戴し恐縮いたしました。でも本田先生だったらどうだろう。「いいよ、それもチャンス・オペレーションだ」と言って笑って許してくれたのではないか。本田先生が誰なのか判らない全世界中の方のために言っておきますと、桐朋で音楽学を教えておられた方です。
時代は変わる。女性アーティストがベビーを連れてツアーをする。もしかするとそれ自体かつては批判の対象となったかもしれないのですが、いまは堂々と。カティア・ブニアティシヴィリも堂々と。インスタグラムにも楽屋でのベビちゃんとの仲良し写真や動画をガンガン上げている(さすがにベビーちゃんのお顔にはモザイクがかけられている)。かわいくて仕方がないんだね。いいね。
書いていて思い出しましたが、その昔は、妊娠したのでコンサート中止、という発表をすると必ず食いついてくる人が1人か2人いました。プロなら妊娠するな、というのです。とんでもないことです。
ブニアティシヴィリは先日カーネギーホールのステージ上で赤ちゃんに授乳しているインスタ動画もあげていて、もしかすると、ステージ上は神聖な場所だから、あるいは非日常の場に日常を持ち込むとか、そんなんあかんやろ、といったようなご意見も出るかもしれません。でもリハーサル中というか、いわゆる一般に公開されている時間でもないですし特に問題はないんじゃないですかね。
日本人の感覚からすると授乳動画を公開することに抵抗を感じるかも知れませんけれど、こうして堂々と公開することは時代の象徴と言えるかもしれない。ベビーちゃんとは生活するだけでめちゃくちゃ大変なのに、コンサートピアニストというハードな仕事もこなしているのはシンプルに素晴らしい。
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