BBCシンガーズ、解散

「大胆かつ野心的で、クラシック音楽を愛する聴衆にとって良い新戦略」という表現。

その言葉とともに、1924年に設立されたイギリスで唯一のプロフェッショナル室内合唱団、BBCシンガーズが解散になることが突如発表されました。20名のメンバー全員が解雇されることが決定、ということで、うそやん!あかんやん!!と大騒ぎになっております。イギリス音楽家連盟(MU)がBBCと緊急協議している、という情報もあります。

https://operawire.com/bbc-singers-shuttered-as-part-of-a-new-strategy-for-classical-music-in-the-uk/

https://www.classical-music.uk/news/article/bbc-to-disband-bbc-singers

https://www.theguardian.com/music/2023/mar/07/bbc-singers-choir-to-close-as-part-of-corporations-major-review-of-classical-music

BBCが出来たのが1922年なんでその2年後、すぐ後に出来たまさに創業期からの団体。この合唱団はエルガー、ストラヴィンスキー、シェーンベルク、バルビローリ、カラヤン、フルトヴェングラー、ワルター、クレンペラー、エネスク、ミヨー、プーランク、ヒンデミット、ブーレーズ、シマノフスキ、ブリテン、クセナキス、ティペットなど本当に数えきれぬほどの著名指揮者、作曲家たちと仕事を共にしてきたといえばその歴史を感じ取っていただけるでしょうか。それにしてもいきなり解散発表というのはあまりにも乱暴ではないか。

大なたが振るわれるのはBBCシンガーズだけではない。BBCが抱えている5つのオーケストラのうちマンチェスターのBBCフィル、そしてロンドンのBBC交響楽団とBBCコンサートオーケストラ、この3楽団においても20%もの給与カットが行われるという衝撃的な引き締めも同時に行われる。オーケストラに関しては希望退職もつのる、ということで、控えめに言って強烈。

浮いたお金はどうなるのですか、ということなんですが、そのお金はイギリス全体の合唱の未来により広く投資される、また音楽教育へ使われる、ということのようです。その詳細なプログラムは今年中に発表ということになっているそうです。お友達優遇みたいなことが起こったらどうする、どうにもできない、みたいな事なのでしょうか。

いや、こういうのはどういうプログラムを作っても批判を受けることは間違いないので(というか全員が満足するようなプログラムは絶対に出来ないので)、批判を覚悟でえいや!とやるしかないのでしょう。やるからにはいいプログラムが作られて、若者たちの刺激となってほしい、将来の聴衆、将来のミュージシャンとなってほしいと、ただそう願うのみです。

オーケストラは予算カットのみならず、全国各地を拠点にして放送する、というようなこともするようで、今回の施策はいわゆる首都と地方の問題、「コンサートに行きたいがそもそも地元ではコンサートがないので東京に行かなだめなんよ」、みたいな、享受できる文化の格差っていうのでしょうか、そういうのを公共放送としてできるだけなくしたい、というような意味もあるのでしょうか。

ウィーン放送響の件もそうですが、これは対岸の火事では全くありません、本当に。

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