ミュンヘン国際のファイナリストは全員プロオケに所属

毎年いろんな楽器のコンクールをやることで知られるミュンヘン国際コンクール。今年はフルート、トロンボーン、弦楽四重奏、そしてピアノ。フルート部門が終わり、韓国人でベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の首席奏者を努めている韓国のキム・ユベンが優勝しました。素晴らしいことだ。

https://www.br.de/ard-music-competition/competition/category-1/index.html

ところで、レブレヒトが伝えるところによりますと、ファイナリストになった三人は、すでにプロのオーケストラで演奏している人物だということでありました。調べてみたらたしかにそうですね

優勝 キム・ユベン:ベルリン・コンツェルトハウス管(首席)
2位 マリオ・ブルーノ:カッセル州立歌劇場(ソロ)
3位 レオニー・ブミュラー:NDR北ドイツ放送フィル

なるほど、いや、実に興味深いというか、面白いというか、不思議だというか。このあとバイーン!と頭にバケツが降ってきて、ビヨヨヨーンと体全体に衝撃波が伝わっていくんではないか、というそういう気分にもなっています。ってわけがわからないことを言うな。

プロのオーケストラ奏者がコンクールを受けるということの意味を少し考えてみたいと思うのですが。これにはどういうことなのでしょう。「単に賞金が欲しいから」っていう人はおそらくいないでしょうね。すでに彼らはそこそこ高給取りで、コンクールの賞金があったからといって生活が爆発的に向上するわけではない。

むしろせっかくなんで腕試しとか、記念受験的な意味合いのものがあるかもしれませんね。それも「受かりっこないけど東大受けてみたわ」とかそういうパッパラパーなんではなくて、「人生でこのコンクール受けられるのは多分最後なんで運試し」、みたいなノリかなと思いますね。

あとは「コンクールを受けると練習するから腕があがる」っていう理由もあるかもしれません。それによって自分磨き。みたいな。優勝したからといって自動的に憧れのベルリン・フィルやシカゴ響に入団がかなうわけではありませんが、腕を磨いて、さらによいポジションを獲得するための足がかりに、みたいな感覚もあるかもしれません。

あるいは、オケやめてソリストとして活躍したいんどすえ、みたいな方も、もしかするとおられるかもしれません。ただしこれは大変な茨の道です。とくに管楽器でソリストとしてフリーランサーでやっていくのって、めちゃくちゃ難しいと思うんです。

ところで「プロがコンクールに出るなんておかしい」などとお考えになる方がおられるかもしれません。コンクールってアマチュアがプロに登っていくための登竜門、と、そういう風に考えていたりしませんか。それは実は間違いで、いや、間違いではないかもしれませんが、現実的にはすでにプロで活躍している人が、さらにプロとしてのキャリアを高めるために受けるもの、が正しいのです。もちろん、彗星のごとくに無名の騎士が現れて勝利をかっさらっていく、そういうシーンもないわけではないですが、あまりないですかね。

むしろだいたい国際コンクールで上位に入るのはみなさん「すでにプロ」なのです。

優勝したキム・ユベンのファイナルの演奏をどうぞ:

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