角野隼斗、ロイヤルアルバートホールで携帯電話に反応

これがガチガチのファンが集うブルックナーやらマーラーやらだったらこうはいかなかっただろうし、ひたすら集中力が途切れた、という気持ちだけが残り、会場は大荒れだっただろうし、音楽家の側もコメントを出すのが難しいと思うんですよ。

だが、この話はとても気持ちのいい話なんで読んでくれよ。

クラシック音楽のコンサートと携帯電話との相性は今ひとつというか、むしろ静かに座って静かな音楽を聴くわけなので、ズンドコズンドコ大音量が流れているわけでもなければ、観客も静まりかえっている、客席も暗いことがほとんど。

そういう状況でスマホを取り出して操作する、とかはわりとタブーとされるわけです。取り出さないにしても、音が勝手に鳴ることもあって、演奏中に着信が、とか、アラームがとかそういうこともあるわけですね。演奏中にそういう音が鳴るとホールの全員の集中力が一瞬途切れるので、残念なわけです。

ロンドンのロイヤルアルバートホールに今週月曜日(2024年4月22日)デビューを果たした角野隼斗が、ラプソディ・イン・ブルーの演奏中、聞こえてきた携帯電話の着信音に反応して即興で音を加えたぜ!という話が、コンサートの主催者Classic FMのサイトに嬉しそうに出ていて、これは実にうまい。

指揮者も、オーケストラのメンバーも携帯の音に反応したことに気がついていて、うははは、と愉快な気持ちになったようである、ということなんですよ。

自由度の高いガーシュウィンの作品だったことに加えて、こう言ってはなんだがタイミングもよかった。オーケストラが演奏していないピアニスト一人だけの箇所だった。このタイミングだったからこそ出来たことであった。気がついた人は当意即妙というような言葉やら、ユーモアという言葉やらが頭に浮かんで、「うっ」が、「あっ」に、つまり、とても心地よくなって笑顔がこぼれたことでありましょう。

ご本人も「周りで聞こえる音に反応するのは音楽家なら自然なことです」と語ったようで(YouTubeの紹介文にそう書いてある)、好感度爆上げであります。

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