タリシオというニューヨークのオークションハウスは、ルイジ・タリシオ(1796-1854)という名前のイタリアの楽器商から来ていて、このタリシオさんというのはですね、当時あまり顧みられることのなかった古いイタリアの貴重な弦楽器を買いあさり・・・いえ収集して回り、そしてバカ高い値段で売り抜けた・・・いえ、その価値を世に知らしめた人物でありました。その名前を冠したオークションハウスなんですよ。つまり、俺たちは最高のもんをやるぞと、そういう意気込みが見えるお店なわけです。
事実、このタリシオが手がけたストラディバリウスのオークションは、史上最高額をいまだ破られない2011年の《レディ・ブラント》(1590万ドル、当時の価格で12億7000万円ぐらい)や、2022年の《ダ・ヴィンチ・エクス・ザイデル》(1534万ドル、レートがあれなんで日本円としては20億6000万円とレディ・ブラントよりも高くなっちゃうんですけど)などがあるわけです。
話が飛びますけど、最近、三田に超高額マンションが出来ると知りました。そしてそのお値段がやばいと聞きました。平均価格4億円。29㎡のワンルームが1億円越えで、一番高い部屋はこれまでの新築マンションの最高額55億円を超えるだろうとささやかれている。そういうおっそろしい話を聞いてたまげているわけなんですが、ストラディバリウスの場合はどうであろう。2011年の史上最高額を超える取引はいまのところないわけですが、12年ぶりに更新なんてことがあるのでしょうか!さあ!
Antonio Stradivari, the ‘Empress Caterina’ of 1708 – Tarisio
https://tarisio.com/cozio-archive/cozio-carteggio/stradivari-1708-empress-caterina/
なお予想落札価格は出ていません。これから出るのか。あるいは高すぎて出せないのか。高額をもくろんで意図的に出していないのか。もしかすると、状態がよくないのでちょっと安いのかも、だからあえて出していないのでは、と邪推?することも可能であります。いやあわくわくするなあ。超えてこないかなあ、1600万ドル。ここまで来るともはや怒りとか呆れとかそういう感情はなくて、むしろ積極的な気持ちに、晴れやかな気持ちになれるから不思議だ。ゴーゴー!ショッピング!(すいません買うのは私じゃないんです)
このストラディバリウス、どういう楽器かも少しだけ軽くご紹介しましょう。1708年製。エリザヴェータ(ロシア史に名を刻む偉大なるピョートル大帝の娘、のちのロシア皇帝)ためにヴェネツィアでロシア大使によって購入された楽器で、エリザヴェータが亡くなると後継者のエカチェリーナ2世に引き継がれた。そしてエカチェリーナ2世に使えた国務長官?の手にわたる。この人物は音楽を愛したアマチュアのヴァイオリニストで、自分の農奴を集めて作った楽団を持っていた。おそらくこの楽団でも演奏されたのでありましょう。そのような歴史を持っているのでございます。ロシア色が強め。
その後もいろいろな人の手に渡って、さいごは1982年、実業家のGiorgio Feige(ジョルジョ・ファイゲ?と読むのかな?イタリア系ドイツ人っぽいですね)の手に渡り、その子孫が現在所有&放出、と。
タリシオのサイトにもっと詳しく出自が載っているんで、気になるという奇特な方はぜひ上に記載したタリシオに行って読んできてください。
オークションは6月8日に開催されます。行け!超高額!
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