エッセンで新作ヴァイオリン協奏曲の初演がオーケストラに拒否され物議

ドイツのエッセン・フィルが新作の初演を拒否、代わりにベルクのヴァイオリン協奏曲へ。どういうことでしょう。カロリン・ヴィトマン独奏での演奏が予定されていたクララ・イアンノッタの新作ヴァイオリン協奏曲の話のようですね。クララは1983年にローマに生まれたイタリアの作曲家で、いまはベルリンを拠点にしているという。

彼女の作品はどんな特徴があるかというと、特殊な奏法、プリペアドピアノの弦楽器版のような、紙、金属、ゴムなどを弦に挟んで演奏する、管楽器は生きだけを吹いたりキーを叩く音をつかったり、など、いわゆる通常の演奏とは違う演奏法もたくさんあると。音楽と言うよりも音響彫刻のような作品作りである、などと評されることもあると。ほんとうかな。なんせチャッピーに教えて貰っているので、誤りが含まれている可能性もあるのだが、実験的なことをしたいタイプの作曲家であろうか、ということはなんとなく想像がつきました(勉強不足でごめんなさい)。

なぜそうなったのか、いろいろ情報が錯綜しているようですけれども、特殊な奏法、演奏に当たって求められる特別なモノ、それが想定の範囲を超えており、準備に時間もかかるしモノを揃える費用も数千ユーロとかなり高額で、了承できるものではない、ということだったそうです。

加えて、作品の完成が、本来8月で合意していたところ大幅に遅れ、公演の2週間前にようやくスコアが届いたということであります、どうやら、当初はいわゆるオーケストラでは使用しないような特殊なモノを使用することは認めない、と告げられたが、交渉の結果オッケーになったので作曲スタートした、ということだそうです。

お互いの理解に齟齬があったということでしょうか。だとすると「あるある」ですけれども、だとしても人生楽じゃないですね。しかし、曲の完成がギリギリになったというのはいただけないかもしれません。大人なら納期を守らないといけません。いや、アーティストだもの、そんなこと言ってらんねえ!締め切りなら踏み倒すのがアートだぜ。

どっちや。

ただ、革新的な何かを人に頼んで演奏してもらおうと思ったら、やってもいいかな、と相手に思って貰えるように物事をすすめた方が得策なのではないか、とは思います。信念を貫くのはとても大事なことですが、一方で、あいつわがまま、みたいに見られてしまうのは損かもですね。新しいことをするには丁寧な話し合いが必要。信念があって、完全な作品を目指したために納品が遅れたのかもしれませんが、遅れたことが、相手に拒否できる理由を生んでしまっている。

ベートーヴェンみたいに、楽譜なら公演当日の朝に出来ましたが何か?みたいなことをすると、今の世の中なかなか受け入れられてもらえないかもしれません。ベートーヴェンの場合でも演奏は崩壊していた模様なので、ベートーヴェンのときだってあまり得策ではなかったのかもしれません。

いや、演奏を断られるところまでがアートなのかもしれない。

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