私はいま、ウィーンにいます。なんでか。タイトルに書いてあるやろ。読めや!
ジョ、ジョ、ジョルディ・サヴァールに会いに来たんよ!サヴァールが、ウィーンでベートーヴェンを振ると言うことで、万難を排して(おおげさ)飛んできたの。本当に。スイスエアーで。うちからホテル到着まで、なんと24時間かかったよ。遠いからしょうがない。オーストリア時間の昨晩遅くに着いたのです。ほんで本日はヘロヘロで、これはまずい、本番中寝るからと、お昼寝したら遅刻しそうになったことはサヴァール先生には黙っていてほしい。
出不精の私がウィーンに来たのはおよそ20年ぐらいぶりなんです。意外ですか。そうでもないですよ。しかしウィーンの匂い、変わっていませんね。コンツェルトハウスもそれこそ20年ぐらいぶりで、えーっと、どこにあったっけ?楽友協会からそんなに遠くなかったっけ?ぐらいなところからリスタートしたわけです。
カールスプラッツ(地下鉄の駅です。言うたら梅田みたいな、賑わいの中心地。いや中心は隣のシュテファンプラッツだろうか?)からとことこ歩くこと数分。見よ、コンツェルトハウスが現れた!20年前と大きく違うのは、スマホが私の右手にあって、リアルタイムで地図を見ながら誘導してもらえるところだ。しかしホールの中はというと、たぶん全く変わっていなかった。
そうだ!コートは絶対にクロークに預けないといけないし、しかもクロークは有料、現金払いだったな?ということを地下鉄に乗る寸前に思い出した私を褒めてあげたい。今回はユーロの現金を持たない気満々で来ていたのだ、あぶないところであった。駅のATMで少しだけ現金を引き出し、無事にクロークにコートとおみやげのシガール(ヨックモック)を預け、ホールに入ったところ、中も本当に何も変わってなさすぎやろ。
ぺたぺたの椅子のクッション。おケツが痛くなりますわ。高い天井、金や大理石で彩られた豪華な内装。石でできた階段。すべてがなつかしく、私は懐かしさのあまり卒倒しそうになったのでした。こういう体験、大事ですね。
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そして隣にすわったおっちゃんが、リズムに合わせて顔をガクガク激しく揺らす、むしろ上半身で激しくキメてくるので、椅子が揺れて揺れて。これが日本だと厳しい罵声がネット上に飛んで主催に激しいクレームがつけられるのだろうが、そういうところも全く気にせずニコニコ聴ける。それがウィーンのウィーンたるゆえんだ!(適当に書いています)
ベートーヴェンの英雄と運命。チケットは当然ひと月以上前から完売。演奏はもちろん快演というか、この歳にしてこの切れ味大丈夫なの?ねえ鼻血出ないの?というぐらいの生命力と切れ味があって、終演とともにブラヴォーの罵声が飛び交い、ガチガチの満席で追加席も満席だったコンツェルトハウスは速やかなスタンディング・オベーションとなり、荒々しい興奮に満たされたのであった。
聞けば「なんとかチケットが欲しい!」という何十名もの声がサヴァールの事務所に届いていたのだとか。そうだろうそうだろう。なぜか?それはサヴァールだから。私は明後日の公演にも行くのでどうかレポートをお待ち頂きたい(だれが待ってんねん)
それにしてもウィーンは今日は楽友協会ではゲルシュタインが弾いていて、明日はパリ管/マケラが春祭をやりオペラではノルマのプルミエがあり、あさっての朝は弊社がこの4月、日本にお呼びするクリストフ・コワンがアンドラーシュ・シフと共演していて、同じ朝にウィーンフィルはムーティと定期をやり、と、強烈な番組がずらずら並んでいるのも、いやあ、さすがウィーンだなあ、東京もやばいけど、やっぱりウィーンであるなあ、と、なんだかお上りさんになった気分です。これまた懐かしいオッタークリンガーやゲッサー(ビールです)を飲みながら夜は更けて。私のリポートもこれぐらいにしておきたい。
明日午後は愛すべき我らがじいさま(ジョルディ・サヴァール大先生です)とお茶することになったのでどうか邪魔しないでほしい。
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