ユニバーサル、ドイツ語風に発音するとウニヴェルザールという楽譜出版社がありまして、クラシック音楽をやっている人であれば「奇妙な赤いやつ」「白くて模様のついているやつ」、そういった楽譜が脳裏に浮かんだことであろう。今まさに手にしている、という奇天烈な人もいるかもしれない。
シェーンベルク、バルトーク、ベルク、ヤナーチェク、ブーレーズ、リーム。いわゆる大作曲家たちがここと出版の契約を結び、世に楽譜を送り出してきたのだ。拙著によると(P249)、バルトークはユニバーサル社と国際的な出版契約を結んだことでヨーロッパで名前を知られるようになったとあります。なるほど。それだけ影響力を持った出版社だったわけです。
しかし1914年からユニバーサル社がウィーン楽友協会の中に事務所を構えていたとは知らなかったなあ。うっかりしてたなあ(別にうっかりでもあるまい)。
その事務所が、ウィーン楽友協会から出て行く、そういうことが決まったようです。契約は12月31日、ことしいっぱいだが、同社は6月末の引っ越しを予定しているのだとか。全然関係ないかもだけど、ウィーン楽友協会の地下には一般人の入れない巨大な書庫があるらしい、ブラームスやチェルニーがかつて所有していた貴重な楽譜類がそこに眠っているらしい、という話を聞いたことがあるのですが、いっぺんいってみたいものだ。
ユニバーサル社は現在ウィーンにもう一つ事務所があるそうですが、そこからも出て、引っ越し、1箇所に集約するのだそうです。
楽譜な・・・・・・。もう売れないもんな。売れ線の作曲家たちの著作権も切れているし、いわゆる現代音楽は売れないもんね。維持するのがなかなか大変ですよね。時代の流れには逆らえないか・・・・・・。
では空になったそのスペースはどうなるのか。一部はウィーンフィルが使い、一部はお家賃数倍にして貸しに出すようです。長く住んでいるとお家賃も据え置きになるよね、100年以上なら、そりゃあ値上げはあったでしょうけれど、現在の適切なと思われる金額よりはずっと安かったであろう事は想像に難くありません。
楽友協会も利益を最大化したいんだね。そりゃそうだろうね。
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