トゥガン・ソヒエフがトゥールーズ・キャピトル管を再び指揮

昨年3月、戦争がはじまってすぐにトゥガン・ソヒエフはトゥールーズ・キャピトル管の音楽監督を辞任しました。この辞任が大きく話題になったのは、同時にモスクワのボリショイ劇場も辞任したから。

音楽家にどちらの側に立つか圧力をかけることを余儀なくされているが、どちらか一方を取るという選択肢はない、ということで、確かトゥールーズの政治家がプーチンを非難しないとトゥールーズで指揮しちゃだめ、みたいな発言をしたことに対する反応として、でした。

しかしそのときから8ヶ月が経ち、ソヒエフはトゥールーズ・キャピトル管にもどってきた。そして今夜ブルックナーの8番を指揮するのであります。もちろん音楽監督としてではなく一人の指揮者として。ソヒエフは「依頼さえうければ何度でも戻ってくる。依頼が来ると言うことはオーケストラが関係を継続したいと強く願っているからだ」とインタビューに応えたとのことであります。

https://www.diapasonmag.fr/a-la-une/tugan-sokhiev-de-retour-a-toulouse-31845.html

ちなみに独占インタビュー全文を読みたい方はこちら。課金しないと読めないんですけど:
https://www.ladepeche.fr/2022/11/15/exclusif-tugan-sokhiev-retrouve-lorchestre-du-capitole-mon-lien-avec-toulouse-ne-pourra-jamais-se-rompre-10804969.php

ただし音楽監督のポストに復帰することについては考えていないとしていて「それが道理であろう、後任者はオーケストラが全員一致で受け入れる人であることを願っている。」そして「芸術を強制できるものは何もない。決してうまくいかない」とも述べています。「私とトゥールーズとのつながりは決して断ち切ることはできない」。

ソヒエフは辞任の時もこれ以上ない完璧なコメントで多くの人をうならせましたけれど、今回もまた素晴らしいと思ったのは私だけではないと思います。こんな見事な対応が出来る人にオーケストラがついていかないわけがない(「そんなわけがない」が起こるのがオーケストラというものだったりもしますが)。

バランスのとれた対応とはなんたるかを再び目にして強い感銘を受けたわたくしは朝ご飯を食べてきたいと思います。

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