スウェーデンの気鋭の作曲家、ヤコブ・ミュールラッドの新作は、オーケストラとチェロのためのVeer (bot)という曲。チェロは、ただし、人間ではなく特別に製作されたロボットが演奏する!!バーン!
なんのこっちゃ。
そういうきょとんとした反応をしてしまう我々のために、この世の中は便利なものを準備してくれているんだね。つまり、動画。インターネット上で緩く繋がっている我々は、スウェーデン第三の都市マルメで行われたその世界初演の模様をいつだってゆるい気持ちで眺めることが出来るんだね。本人の熱量も、いくばくかはそのYouTube動画から聞こえてこようというもの!!あっち!!あっちいいい!!
しかし実にシュール。産業用のロボットアームと、3Dプリンターを使って作られたらしきおもちゃの車のハンドルのような形をした左手が、角度を変えながら、っていうのか、不思議な動きをしながら弦を押さえていく。
「むしろこれ、チェロを使う必要が、ありますか」。そういう根源的な質問の提起も含め、作曲家の意図があるのだろうと思うよ。そもそも人間が提供できるものをロボットが実現出来るとは思っていない、と作曲者本人も言っていますから。
ロボットが、一見奇抜な動きをする、それが人間の頭にびびびと響くわけだね、なんというかこう、受け入れなければという思いと、直感的に受け入れがたいと感じるような、一種アンビバレントな感情が生まれるわけだ。なおアンビバレントっていう言葉がどういう意味なのか判らないで使っています。
自動演奏のヴァイオリンとかは古くからありますが、いちばんの問題はヴィブラートですか。極めて繊細なヴィブラートはロボットでどうやって実現するのか?はい、ヴィブラートなしです。そういうものは追い求めていないんですよ。
つまり、このコンセプトとしてはロボットが人間にとって代わるのではなく、ロボットはロボットとして演奏しなはれっていうことだと思う。
12月にアメリカでも演奏されるそうです。日本の好事家のみなさまも、ひとつどうです?
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