最後の1日になりました。残り15時間程度。
今年も行く年来る年をつつがなく見られるであろうことに感謝したいと思います。紅白がプシュー!!っと華々しく終わった後の、ゴーン・・・ゴーン・・・の番組はしみじみとしていて、最高であります。
今年を振り返ると激動でした。会社を設立するという事を経験し、その後全く仕事がなかったらどうするのか!!妻や子が!!!!という人生史上最大の危機ではありましたが、大変ありがたいことに様々な人々に助けられて、なんとか年をまた一つ越すことが出来そうです。3人の子供たちも、私がこうしてこの文章を書いている瞬間も意味不明な言葉を叫び会いながら仲良く喧嘩をしています(早よご飯食べぇ!!!)子供は育つ。恥ずかしくない親にならないといけないと思いつつ、未熟だなと反省する日々でもあります。
来年は今年よりももっといい年になりますように。
ピアニストの世界を見ますと、今年は大きな喪失がありました。
ラドゥ・ルプー(1945-2022、享年76)
ルプーに関しては長年日本での活動に関わってこられた板垣千佳子さんの著書をぜひ読んで頂きたいと思います。「ラドゥ・ルプーは語らない。」あらゆる意味で掛け値なしで最高の本です。私がホールで勤めていた際、リサイタルに一度だけ関わらせて頂けたのは幸いでした。一回体調不良でキャンセルということも経験しましたが、このとき購入者全員に職員総出で電話をかけたのは良い思い出です。沖縄県の購入者の方もおられたんだったと思いますが、中止を伝えたときにどういう反応だったのか・・・。もう10年ぐらい前の話で、すっかり忘れてしまいました。
1966年、第2回ヴァン・クライバーン国際コンクールでのバラード1番(2分)
ラルス・フォークト(1970-2022、享年51)
亡くなる直前のインタビュー動画には心を動かされました。その映像ではお元気そうに見えたのですが、わりとそのすぐ後に訃報を目にして動揺しました。インタビューは7月23日、動画の公開日は8月13日、亡くなったのは9月5日。ピアノが弾けなくなっても生きていたい、と表明して苦しい治療を選択したという事実に考えさせられました。生きるとは何か。人はすぐにヒーローやヒロイン像を求めるものです。「芸術に身を捧げた」などという言葉に安易な感動を見いだしがち。しかし人生はそういうものではない。治療を受けた結果より長く生きられたのかどうか、それはわからないけれど、ともかく人生について考えさせられます。
8月13日に公開されたフォークトのインタビュー動画:
アレクサンダー・トラーゼ(1952-2022、享年69)
トラーゼのDVDを見て何度も大爆笑した(凄くて、という意味です)のはブリュッセルの屋根裏部屋でのことでした。一度だけ、トラーゼのリサイタルに関わらせていただきました。演奏の最中に舞台上でシュッシュッ、と何やら霧吹きのようなものを口の周りに吹きかけていたのは一体何だったのか、いまでも判らぬままです。トラーゼは今年心不全を起こしながらもコンサートに出演し、終演後に緊急入院、そしてそのまま帰らぬ人となった。生き方は様々。舞台になんとか出られたというのは大変な満足だったのでしょう。病院からのメッセージには心が締め付けられる。
1970年代のトラーゼが演奏する《ペトルーシュカからの三楽章》
マイケル・ポンティなど、この3名のほかにも鬼籍に入られた方も少なくない。ご冥福をお祈りします。
そして皆様よいお年を。
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ニコラ・アンゲリッシュが亡くなったのも2022年だったかと。派手さはありませんが実力で聴かせるピアニストを多く失った一年でした。