ニューヨーク・フィル、メンバー2名を再び解雇。恐らく今回は決定的。

ニューヨーク・フィルでくすぶり続けていたメンバー2人の解雇と復職問題がまた紙面を賑わすことに。今回は決定的な解雇になるのではないか。

経緯はかなり複雑で、理解が簡単ではないんですがだいたいこういう感じ。ニューヨーク・フィルでは副首席トランペット奏者と首席オーボエ奏者の2人が、2010年にまでさかのぼる性的暴行と職権濫用の疑いで2018年に解雇された。

この2人は解雇は不当であると主張し、音楽家たちのユニオンであるアメリカ音楽家連盟も2人の側に立った。いろいろあって2人は2020年4月に復職することになった。

しかし、このたび再び調査が行われ、慎重に協議された結果、2人は先月解雇宣告を受け(実際には今シーズンが終わるまで有給休職。これはオーケストラの規則に則ってそうなるようです)され、「永遠に同じ舞台に立つことはない」という宣告も受けた。かなり厳しい決断が下されました。このことについて非常に長い記事があちこちで掲載されています。例えばAPとかで全文が読めます。つまり、関心の高さが見られます。

当然2人はこれを不服としているようですが、状況としては両者にとってはあまりいいとは言いがたい感じですね。

1:当初2人を擁護していた音楽家連盟はニューヨーク・フィルの今回の決定に意義を唱えないことを決定(犯罪行為があったかどうかではなく、再雇用しないという決定が適切だったかどうかのみを評価)。

2:団員9人で構成される解雇審査委員会のメンバー全員が「2人の権力の濫用と行動パターンへの嫌悪感を表明した」。

3:新たに調査をした結果、11人がオーボエ奏者を、3名がトランペット奏者を強姦や性的虐待、権力の濫用で告発した。一部は学生だった。

4:オーケストラのメンバーのうち3分の2がこの2人と一緒に立つことを拒否するという意思表示をした。

もちろん、2人以外の全てのメンバーも調査され、問題はなかったとのことです。

この2解雇によって、オーケストラメンバーにとって決定的に大切な「終身在職権」が脅かされるのでは(今後、安易に解雇されるようになるのではという疑念、悪しき前例となるのでは、という懸念ですね)というメンバーの不安については、正当な理由がなければ脅かされるものではない、と保証された、とのこと。

コメント

コメントする