末期癌と闘いながら先月80歳を迎えた指揮者マイケル・ティルソン・トーマスのインタビュー

BBCミュージック・マガジンに昨日、マイケル・ティルソン・トーマスのインタビューが掲載されました。多分、この記事のためにインタビューしたものだと思う。と思う、と書いているのは、過去の記事やインタビューからの引用で新しい記事が書かれることもあるから。

でも多分、これは今回の記事のためにセットされたインタビューなんだと思います。MTT(マイケル・ティルソン・トーマスの略称であり愛称でもあります、人々は敬意を込めて「エムティーティー」と言うのです)はいまも元気だ!!進行性の悪性腫瘍と2年以上闘っていて、いまなおステージ上で、立って、マーラーを演奏出来る。すべての人々に勇気と力を与えている希有な人なのです。

現在の健康状態について:善意の人が私の健康を心配しすぎるとイライラする、「それは大変過ぎるかもしれません」と言われると「仕事をさせてください、大変だったら言いますよ」と返す、ということで、よけいなお節介は不要なのだということですね。素晴らしいことだし、同じようなシチュエーションで私たちがどう振る舞うべきかということも考えさせられますね(とはいえ働け働け!!と病人にむち打ってはいけませんね)。

作曲もまだ続けていて、これから生まれてくる曲もありそうであると。音楽への情熱がすばらしい。

最近ニューヨーク・フィルを指揮したが、そのときに「長い年月をへて皆さんの所に戻って来てとても嬉しい。当時は皆さんと共有したいことがたくさんあったのですが、それを皆さんに明確でわかりやすい物にするだけの知識がありませんでした。いまはもっとお役に立てると思います」、と言ったそうです。

それに対して「あなたにビジョンがあることはわかっていたが、まだ模索をしているところだった。いまのあなたはやりかたを知っている。さあ、演奏しよう」とオーケストラが返してくれたということで、それをとても誇りに思っている、とのこと。

この対話ほど感動的なものもなかなかないな!!と思いましたね。ぜってー偉ぶらないMTT、いまはもっとお役に立てると思います、という言葉の重さ。オーケストラを指揮するということは、たんなる音楽の才能だけではなく、人心掌握の妙であるとか、そういうことを知っていて、判っていて、実践できる、という能力も必要なのであって、こういう事をさらっと言えるというのは本当にやべーやつだと言うことがわかりますね。

いやー、新年からいいもの読ませて貰いました。記事はここから読んでね。なんでオペラをあんまりやらなかったのか、とかも書かれています。

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