フィリップ・グラス、ワシントンのトランプ・ケネディ・センターでの新作交響曲「リンカーン」初演を拒否

ワシントンのケネディ・センターを巡る騒動は続く。いまは「ドナルド・J・トランプおよびジョン・F・ケネディ舞台芸術センター」という名称になっており、観客動員数も前シーズン比50%と驚くほどに低迷している状況です。ここでの公演を中止するアーティストも続出し、ワシントン・ナショナル・オペラはここから出て行った。

そしてフィリップ・グラスは新作交響曲の初演を拒否。その交響曲っていうのがまあなんというか、第15番なんですが、「リンカーン」っていうタイトルなんですね。そのものずばりですね。ホールのアイデンティティーがクライシスないま、名前の半分が浸食されているいま、リンカーンがまるで閉店前のスーパーのごとく突如50%引き状態なので、いや、これは買わねば、ではなく、これは撤回せねばとなったことは間違いありません。

調べたところ、この作品はワシントン・ナショナル交響楽団とケネディ・センターの共同委嘱作品(この2者からの依頼で書かれている作品)で、リンカーンのことばや演説なども素材にしていて、かつ、アメリカ合衆国建国250年記念の一環として位置づけられていたと。

本人からもきっちりとした声明が出ていて、

この作品はリンカーンの肖像である。しかしいまのケネディ・センターの価値観は、この曲が伝えようとすることと明らかに矛盾する。現体制のもとこの曲の初演をすることは私の良心にもとる。撤回しなければならないと感じている。

その一方で、ワシントン・ナショナル交響楽団は、引き続きケネディ・センターにとどまるという決断をしていて、ジャナンドレア・ノセダもそれを擁護する発言をしています。どっちがいいのか、というのは簡単に白黒つけられるものでもないと思いますので、外野は適当なことをいうのは慎まねばならないのかもしれませんね。語り得ぬものについては、沈黙しなければならないのだ。

いい言葉をありがとうヴィトゲンシュタイン。このフレーズは、本来の本人の意図と合致するかどうかはわかりませんが、高校生の頃に出会い、生涯大切にしたいと思っている言葉です(でも本人の考えはあとで変わってるんですよね確か)。

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