今週日曜に予定されていたゲルギエフのイタリアでのコンサート、中止

これはやむなしと言わざるを得ないかな、と思っています。今週の日曜日に予定されていたゲルギエフのイタリアでのコンサートが中止に。ロイターBBCガーディアンNYタイムズなどが一斉に報じております。この公演に関しては、どうしてやるのか、という表現が正しいと思っていましたが、中止になりました。直接的な中止の理由は発表されていませんが、イタリアの文化大臣はこの中止について「当然のこと」であり「自由世界の価値観を守るもの」と述べた。

なぜこうした騒動が起こるのか。ゲルギエフはロシア政府に近いから、ですね。文化と政治は切り分けて考えるべきという論調もある程度はそうなのだろうと思いますけれども、一定以上は切り分けられません。ロシアやロシアの文化関係者としては残念な結果となったと思うのですが、ヨーロッパでは広く、そういう風に受け止められているのだということなのだと思います。今回の決定により、またしばらくはゲルギエフの西側での出演機会は遠のいた、と言えるのかもしれません。

本人が自分の生きる道として親政府であることを選択しているのであれば、それに伴って制限がついてしまうのはどうにもしようがないことであり、それがこの結果となって現れたのだということですね。しかし、考えてみるにロシア国内にも多数の音楽家がいて、音楽を愛好する人たちが大勢いる。その人たちにも素晴らしい音楽を届ける監督や指揮者が必要です。いままさにゲルギエフはそのような人たちにとって欠くことの出来ない一人なのだと思います。

なおこの中止についてロシア側はもちろん反発。「損害を被るのはイタリア自身である。自らの権威を揺るがすものだ。才能、プロ意識、誠実さを通じて世界に美と永遠のかがやきをもたらすすべての人々に対するイタリアのあたたかさや寛容さに疑問を投げかける」。ゲルギエフは何も語っていないということだそうで、これは語りたくても語れない、あるいは語らないことでバランスを保つ、そういうことかと思います。

今は難しいかもしれない。とはいえ、今後もこのような公演の計画は行われるかもしれず、中止になることなく実施されることもあるのかもしれません。それは戦争の状況やロシア政府の状況にも応じて変化して行くのだろうと思います。

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