ジョン・エリオット・ガーディナー、60年活動を共にしたモンテヴェルディ合唱団&オーケストラを退任。引退は否定。

昨年夏の暴行事件が大問題となって、指揮活動から遠ざかっていたガーディナー。そして昨日、自らが60年前に創設したモンテヴェルディ合唱団&オーケストラの理事会が、ガーディナーの復帰はないと発表。即時退任ということになりました。昨日出た理事会のステートメントはここ

「モンテヴェルディ合唱団およびオーケストラ(MCO)の理事会は、モンテヴェルディ合唱団、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックの創設者であるサー・ジョン・エリオット・ガーディナーが同組織に復帰しないことを決定しました。」

すこしややこしいのですが「モンテヴェルディ合唱団&オーケストラ」という組織には、いわゆるイングリッシュ・バロック・ソロイスツとオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックだっけ、これらの団体も含まれます。つまりモンテヴェルディ合唱団とオーケストラだけでなく、ガーディナーが作り、活動を長年共にしてきたアンサンブルすべてを退任する、ということです。全部。

昨年8月の暴行事件から11ヶ月の間、いろいろな模索、検討が本人を含めて行われていたのでしょう。あれは歌手が悪いぞ、とか、ガーディナーは昔からやばかったぞ、とか様々な噂話を耳にしました。ここだけの話、私の所にもガーディナーのオケでベートーヴェン全曲演奏会をしないか、という話も来ていて、実現出来ないかとちょっと動いてもみたのですが、結果的に実現にはいたらず、もしこの話が現実に動いていたとしても、とても難しいことになっていただろう、と考えていたのでした。

いろいろ検討された結果、ここへきて、ついに古巣への復帰の道が閉ざされました。メディア各紙も報道している。たとえばabcニュース。ただし、本人は引退を否定。「誤解のないように行っておきますが、引退するつもりは全くありません。客演指揮、レコーディング、執筆、教育プロジェクトなど、ほかのさまざまな活動に注力します」。

オーケストラと合唱団は次の指揮者を探すようですが、簡単なことではないでしょう。こういうバロック系のアンサンブルというのはだいたいカリスマ的な魅力を持つ指揮者が作って、その指揮者が引退や死去すると、世代交代はなかなかうまくいかず、ゆるやかに活動が終止符へと向かう傾向にあるように感じますね。

モンテヴェルディ合唱団とオーケストラ、あるいはイングリッシュ・バロック・ソロイスツやオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティックはこのあと泥船とならないため繊細な舵取りが求められる。新たなカリスマ古楽指揮者を見つける、あるいは育てるしかなく、そしてそれは簡単なことではない。

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