ベルギーのゲントで開催されるフランダース音楽祭の今年の目玉企画!ラハフ・シャニ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートが中止になったのは、首席指揮者のシャニがイスラエル人で、これまで本人は平和を希求する発言をしてきたとはいえ、イスラエル政府に対する姿勢が不十分だと判断したから、だそうです。
音楽祭の目玉の公演を中止にするとか、そう軽々しく出来ることではないしやってはいけないことなわけですが、軽々しくやってはいけないはずのことをやったということは、相当に問題であると主催者が判断をしたということでしょう。公式ページの発表をみるとどうやら地元の市議会とか文化関係者、あるいはベルギーの文化大臣?からの要請もあったと書かれています。なんでこんなことに。
それにしてもミュンヘン・フィルは、ゲルギエフ→シャニ、と奇しくも首席指揮者(シャニは2026年からですが)がらみで連続してトラブルを抱えることとなり、ちょっ待てよ状態であることは想像に難くありません。
公式発表によれば「音楽はつながりと和解の源であるべきであるという信念にもとづき」公演を中止する決定を下した、と。「現在の状況の非人道性、そしてそれが私たちの社会にも感情的な反応を引き起こしていることを考えると、このコンサートの開催は望ましくないと判断しました。私たちは、フェスティバルの静けさを維持し、来場者と演奏家の皆さんのコンサート体験を守ることを選択しました。」とありまして、あくまでも想像にすぎませんが、音楽祭側に抗議の声がバンバン来ていた、ということかもしれません。
もしそうだとして、どのレベルをもって大量に来ているとするのかは判断が簡単にできることではありませんけれど、政治がらみでアメリカでは射殺事件も起こっています。話し合いができないなら力づくで、というケースも増えている。実に不穏ですし、もし現場がそういう感じで収集がつかないことになったら、あるいは最悪死者が出たらどうする。臆病すぎるのはだめかもしれないが、ふわっとした「大丈夫っしょ」みたいな感覚で突き進むのもまずい。
ミュンヘン・フィルやシャニといえば「世界屈指の強豪」的な、大きな存在であって、イレギュラーなことをすればそのあと広くざわつく可能性がある、ということは想像に難くありません。実際ニューヨークタイムズとかガーディアンとかも報道していますし。
加えてこの中止判断によって影響を受けるミュンヘン・フィル、指揮者、チケット購入者、スポンサーをはじめ、公演に関係する人たちは多数います。急に仕事を失うことになったら戸惑いや怒りも起こりうる。お金を出した人たちからは「金返せ」と言われますし、あるはずだった仕事がなくなった関係者たちからは「金、払ってくれるよね」と言われる。大義名分を振りかざすのは簡単、しかしそのあとに波及して発生する責任を回避することはできない。ドイツ政府関係者も怒ってるみたいだし。
それを理解した上でのこの判断だったのであれば、現場が相当に憂慮すべき状態だったのかもしれません。見出しだけみて騒ぐ人もいますが、現場のことを一番知ってるのは現場ということもけっこうあります。現場からなんかやばそうやで、まじで、の声が上がってきてこう決断せざるを得なかったのだとすればどうか。「君らここおらんやろ」、と言われたら、本当にごもっとも。
世の中に暴力が満ちてきているこのご時世、暴力行為が起こらないとはいいきれません。なんというか、世の中の分断が進んでいる。驚異的に安全と言われてきた国日本に済んでいてもそういう風に不穏な空気を感じているわけですが、我々はここから何を感じ、どうすべきなのか。
私の勝手な想像(音楽祭にすごい抗議が来ていたのかも)は、もしかすると全然違うじゃった、かもしれませんけれど、結果だけを見てワーワー騒ぐのではなく、思慮深く行動していかなければならぬ、と自分を常に戒め、行動や言動について考え続けなければならない、ということかな、、、などと思っています。
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