ドホナーニが亡くなりました。95歳。ミュンヘンで。1984から2002年までクリーヴランド管弦楽団の音楽監督、ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者は1997年から2008年まで。
派手なというよりも、手堅い、堅実といったイメージでしょうか。華々しさよりも謙虚さ的な。1929年ベルリンうまれ。祖父は作曲家のエルンスト・フォン・ドホナーニ。両親はナチに抵抗する活動家(父親は絞首刑で死亡)。アメリカに渡り、バーンスタインに指揮をまなんだ。
っていうかドホナーニってバーンスタインの弟子だったんですね。コンサートの第一線から身を引かれて長く、お名前を目にすることはほとんどなかったのですが、こうして経歴を改めて目にすると、そうなんか!ということがいっぱいで、我ながら不勉強なことであるなあ、との思いをあらたにしたのでした。ショルティのアシスタントとして1952年にフランクフルト歌劇場でキャリアをスタートさせ、1968年にショルティが去った後その後任となる。その後ハンブルク州立歌劇場の首席指揮者も。
マゼールの後任としてクリーヴランド管弦楽団の音楽監督、1000回以上指揮し、オーケストラの初めての中国ツアーも行った。マゼール時代に衰えたとされたクリーヴランドのかがやきを取り戻したと評価された。
ドホナーニは時代の変化に敏感だったというか、セルやライナーといった独裁的な指揮者たちが気に入らない団員をバンバンクビにしていたが、もうそんなことはできないし、それはいいことだと考えている。団員になにかを押しつけるのではなく、自分の知識と望むこととで説得しなければならない、と語っていたそうです。
オーケストラと指揮者との関係って、20世紀の後半から変わっていきましたね。独裁的でなければ本当にいい音楽なんかできない、という人もいまだにいますけれど、もはやそういうものでもないでしょう。情報社会なので、マエストロが言っていることが理にかなっているかどうか、そういうのもすぐにわかっちゃうっていうかなんていうか。こうしたい、という強い意志は不変ですが、それをどうやって伝えて行くかというテクニックはより洗練されたものになっている、という感じですかね。なんかわかったようなわからないようなことを書いておりますが!
いろいろ訃報が出ているので読みましたけれど、ニューヨーク・タイムズ紙のものがいちばん読み応えがあって、なんのかんのと考えさせられました(課金してないと読めないかも)。
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