ヴァイオリニストのララ・セント・ジョンが自身を含むクラシック音楽における性的被害を題材にした長編ドキュメンタリー『Dear Lara』(親愛なるララ)を公開へ

ヴァイオリニストのララ・セント・ジョンが自身の性的被害を含むドキュメンタリーを制作中というニュース。主な資金は、自身のニューヨークのアパートを売却したことで得た、というから、ララ・セント・ジョンの覚悟はとてつもないことだ。

カーティス音楽院で14歳のとき、当時78歳だたヴァイオリン教師ヤッシャ・ブロツキーから性的な接触をうけ、最終的には教師の自宅でのレイプにまで発展した。

この話は2019年に彼女自身が望んで公表され、それなりに話題になり、何百人もの女性たち、数人の男性たちから体験談を受け取った、95%がポジティブな反応だったそうですが、それでも、本人が望んだほどには音楽教育の現場は変わらなかった。それが、ララ・セント・ジョンがこの映画をつくろうと思った主なモチベーションなのだそうです。

『ディア・ララ』(親愛なるララ)というタイトルのこの映画では、自分自身のカーティス音楽院での体験だけでなく、世界中の音楽学校やオーケストラで起こったことについても探求されていて、編集中のラフカットをみた人たちからは、クラシック音楽の暗い側面について知って驚きの声も挙がっているとのことです。

彼女自身はこの映画を通じて何を得たいのか。お金ではない(そもそもこういう独立系の作品が儲かるらないことは判っている)、人々がそれを見て、現状への認識が深まること(理想を言えば学校でもこの映画を上映し、ディスカッションも行いたいと思っているが、そう簡単ではないだろうとも)。

数年間の告発にも関わらず、クラシック音楽界には大きな進歩がなく、いまなお、報告が寄せられているとのこと。密室で、マンツーマンで教えること、パワーバランス、こういう特殊な教育法が生んでいる弊害ですね。

記事の最後に書かれているララ・セント・ジョンの力強い言葉「私に出来るただ一つのことは、屋根の上にたって大声で叫び続けるだけ。ほかに方法はないのだから」に賛同したい。

教える立場の方々、言動には気をつけていただきたい。学ぶ側のみなさんは、もしも恐ろしいことが起こった、あるいは起こりそうであれば、勇気を持って声を上げてほしいです。

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