ベオグラード・フィルが存続の危機

セルビアの首都のオーケストラ、ベオグラード・フィルハーモニー管弦楽団が危機的状況にある。先週金曜日のコンサートの前に団員によって声明文が読まれたとあります。

ベオグラード・フィルは1923年設立。すなわち現在進行形で進んでいるシーズンが100周年記念シーズンであります。これまでも危機的状況がなんどかあったが、なんとか存続してきたオーケストラ。Wikipediaを読むと、マタチッチやシナイスキー、ムハイ・タンなんかが首席指揮者をつとめていたんですね。メータも出演したこともあると。

先週金曜日に出された声明文によれば(英文はここに)「この地域でもっとも低い賃金、恥ずかしくなるほど少ない予算、ディレクターもおらず、広告もなく、10年間衣装もかわっておらず、新しいホールが建てられるという確信もない」。

そしてぐっとくるのがこれ↓

「残念ながら我々は拍手で生きているわけではありません。」

これは切実。この言葉はまことに「そう」であって、拍手で生きられるんならこんな楽なことはない。現実はもっときびしく、泥臭いのだ。

運営、経営側は予算をぶんどってこいや!とか、広告ゲッツしてこいや!ええソリスト、いけてる指揮者呼んで来いや!とかそういうことになりがちですが、補助金ありきで存続するのは健康なことではない。チケット代収入というものが大前提としてあって、そのあくまでも補助的な位置での広告やら寄付金やら補助金というものがあるべきで、まずは客席がいつも満席になることでしょうか。そこが最初にして最大の目的地にすべきですよね(ベオグラード・フィルの客席がいつも満席だということでしたら大変申し訳ございません)。

地道にファンを増やす努力を、これまで考えつかなかったような方法も使いながらやっていく。おもしろい企画。ワクワク感。そういったものが求められるのであって、単に「金くれ」では話は進まないんだろうなと思いますね。そうはいってもそんな簡単でもないだろう。

「拍手で生きているわけではない」

実に切実なことばで、この言葉はきっとずっと忘れないだろうなと思いますし、このような危機感は、うまくいっている団体であっても常に持ち続けなければならないのでしょう。

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