プレイエルやエラール、という単語はピアノを勉強した人間にとっては甘美な響きを持つ言葉ですね。なぜなら、ショパンが好んで演奏していたことで知られるピアノメーカーの名前だから。
いまやコンサート会場にあるピアノというと、ほぼスタインウェイ一色。かろうじてヤマハやベーゼンドルファーがあるところもあって、ファツィオリも時々あって、でもエラールやプレイエルという名前は遙か彼方の、遠い憧れの忘却のかなたであります。
しかし、当時ショパンが好んでいた、という響きはとてつもないパワーを持つわけですね。イギリスにはそんなパワーワードのとりこになったおっちゃんがいて、ついには店を開くまでになったぞ、という話がイギリスの新聞に出ていたので、ほーおもしろいなー、夢をつかんだんだね、と、心にポッと暖かい灯りがともったようでした。
2022年にスタインウェイとプレイエル専門の店を開いたとあるのは、やっぱりスタインウェイが売れるから、スタインウェイを稼ぎ頭として、自分の好きなことをその影に隠れてひっそりやるっていうことでしょうか。
なんとアルフレッド・コルトーが(コルトーの名前も、ピアノを弾く人なら誰でも知っている。ショパンの楽譜、コルトーが校訂した版があってですね、地獄のようなトレーニング方法が記載されているので有名だ。この曲を嬰ハ短調で、そして全調に移調して弾くことはとても有益である、とかそういう、にわかには信じがたいことがさらっと最後に書いてあるんですよね。10-1を嬰ハ長調にするとかなんのいじめや。ショパンはハ長調でこそうまく指がフィットするように書いたんやぞワレ!!)弾いていたという1921年製のプレイエルもお店にあって、質の悪いオーバーホールがかつて行われたため状態が悪くなっていたところ、1年かけてじっくりと修復をしたのだという。
さすがにこれはいまのところ販売はしていないようだが、それこそ人々のノスタルジーというか、夢というか、そういうものをかき立てることは間違いがございません。
プレイエルに取り憑かれたシャー氏の奇妙なストーリーはこちらからお読みくださいね。そしてむずむずしてきたらロンドンのショップへゴー!してください。
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