バイロイト音楽祭はワーグナーの聖地で、ワーグナーのファンなら一度は行きたい場所。その昔はぜってーにチケットが取れねーということで有名だったのですが、今年はチケットが完売しない公演が続出して衝撃が走っていたところであります。
蛇足ですがワーグナー大先生がなんとか開催にこぎつけた第1回のバイロイト音楽祭は激烈な赤字をうみ、第2回目が開催されるまで数年を要したのであります。とはいえ現代のバイロイトは完売だし資金面でも問題がないのではと、なんとなく私は思っておりましたが、資金面が揺らいでいるのだということです。
Le Chœur du Festival de Bayreuth contraint de réduire ses effectifs – Diapason
そもそもいわゆる読み替えの激しいプロダクションなんか見たくもないよね。新しいことをやっているから、という理由で補助金が出ているのではないか、つまり、劇場としては何らかの新しいことをして補助金をゲッツせんければならないのでは?とついついそのように勘ぐってしまっているのですけれど、それはそうとして、バイロイトにも資金不足の波が襲っている。
合唱団が134人から80人へ。40%も削減。これを激減と呼ばずして何と呼ぶのか。ちなみにバイロイトは夏の間だけ開催される音楽祭で、オーケストラはどうなっているかというと、基本的にドイツのオーケストラ奏者の寄せ集めであります。寄せ集めと書くと響きが悪いけれど、スター集団であると言えばよろしい。いわゆるオールスター集団なのであります。バイロイトに呼ばれるということはオーケストラ奏者にとって喜ばしいこと、誇りなんだとか聞いたこともあります。
合唱団のことは考えたことがなかったけれど、おそらくそれに準ずる感じなのではないかと思います。Diapasonを読むと合唱団のおよそ半数がフリーランサーであり、彼らの年間収入のかなりをバイロイト音楽祭が占めているのだそうです。これらの人を音楽祭の間中雇うのではなく、ベルリン国立歌劇場やベルリン・ドイツ・オペラの合唱団員を、特定の演目のためだけに呼んでくる、ということをするのではないか、そのほうが安く上がるのだろう、ということがBRクラシックに書かれていて、それが安く済むかどうかはわかりませんけれど、ともかくこれまでの雇用が守られないということになります。
合唱団はいつも一番弱い立場にいる、と感じるのは私だけでしょうか。そもそも40%も数を削減して音楽面でのクオリティは担保されるのか。音楽祭側はクオリティに問題はないとしているようですが、それは強弁に過ぎないのではないですかい?
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