ストリーミングは不思議だという話を聞くことがあります。いわゆる一般的な、フィジカルとかそういう業界用語的な感じの言葉もありますけれど、CDなどとは動きがかなり違っていることがあるのだそうです。
実際先日、ストリーミングに関するあるデータを見せていただく機会があったのですけれども、こういっては何だが、意外なと思われるような国で熱心に聴かれていて、ほよー、ほよよー、ほよよよー、と思ったのでした。そういうもんけ。そういうもんみたいなんよ。世界中でアベイラブルなわけだから、誰がどこで耳にしているかわからない。それが具体的に地域別で可視化されると、けっこう面白いですね。
クラシック音楽のストリーミングサービスで、世界でもっとも巨大なのはアップル・ミュージックでしょうかスポティファイでしょうか。どっちがでかいかは不明ですが、ともかくどちらも大きいことは間違いがございません。
そのアップル・ミュージックで今年最も聴かれたのは(まだ11月だが今年とくくっちゃうのはなぜ、という単純な疑問は横においておくとして)、なんとアリス・オットの弾いたジョン・フィールドの夜想曲集なのだそうです。
これは驚きですね。ショパンでもなければベートーヴェンでもなければ、ブルックナーやマーラーでもない。不思議だ。しかし世界中にいろいろな人がいて、これ聴くか、と思ってタップする、そういう事の足し算の結果がこれなのです。
しかし、この結果を受けてジョン・フィールドのコンサートが爆増するかと言われると、どうであろうか。普通に考えてジョン・フィールドはそこまでメジャーな作曲家ではありませんね。じゃあコンサートでも、とはなかなかならないのではないか。デジタルの世界だからこその、薄く広く、での結果であり、オフラインで、たとえば特定の都市で多数の聴衆を動員出来るかと言われると、どうでしょうか、とやや消極的な気持ちになってしまう。や、それは間違いなのかもしれないけれど。
そもそもジョン・フィールドとは誰なのか。アイルランドの人で、クレメンティに学びクレメンティとともにロシアへ行きロシアで大活躍したアル中で、夜想曲と呼ばれるピアノの小品のジャンルを考え出した人で、グリンカとかを教えた人である。なんてということを積極的に知っている人はそうそういないのかもしれません(ステルス啓蒙活動)


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