ピアノ弾きならベーゼンドルファーのことはよく知っています。いま世界中で最も使われているのはスタインウェイ。あれはドイツとアメリカを拠点にするメーカー。音楽の都ウィーンのメーカーというと、ベーゼンドルファー。平たく言えば世界を代表するピアノメーカーの一つなんですよ。
その昔はウィーン楽友協会ではベーゼンドルファーを弾くのが当然、みたいな雰囲気だったそうで、いまはみんなスタインウェイで、ごく一部がファツィオリやヤマハやカワイやベーゼンドルファー、ぐらいな感覚になっていて、ベーゼンドルファーが使われることは残念ながらあまりない。というと、言い過ぎじゃない?っていわれそうですが、実際にベーゼンドルファーを所有しているホールでは「ほとんど使われない」と聞きます。みんな結局スタインウェイを弾くんですよね。なので状態がしっかり保たれているかというと、そうでもないこともある。なかなかつらい。もっと使ってあげて!
いい楽器なんですよ。しゅっとしているスタインウェイに比べるともっさりとしていて、なんというか重厚な感じのタッチなんですよね。もう何年も触ってないけど。ウィーンのベーゼンドルファー社、行ったよね。ポルシェがデザインしたピアノもあったよね(時代を感じる仕様だったことは秘密だ)。
なんかこう、世界の先端をいっているぜ!というよりも、わしゃあ田舎のがんこもんじゃけえとでもいうような感じ?ギンギンに凝った和食会席というよりも、芋煮みたいな感じ?どんどん例えが俗っぽくなっていってごめん。でも芋煮おいしいやん?
そういうことだ。
ヤマハやカワイの工場は浜松にある。ベーゼンドルファーの工場はどこにある?ヴィーナー・ノイシュタットに。ウィーンの南にある街ですね。ウィーンではありませんがそれなりに近くて、車で1時間ぐらいのところです。そこの工場がなんと火事で燃えたという衝撃的なニュース。まじか。
工場の本体っていうの?製造工場そのものについては大丈夫だったかが、いわゆる書庫になっている別館が全部燃えたということで、これはやばい。通報があったのが午後10時半過ぎ、消防士100人が消火にあたり、午前1時ごろに鎮火したという。実際の映像があるので以下から↓
Nächtlicher Großbrand in Klavierfabrik Bösendorfer in Wiener Neustadt – Der Standard
https://www.derstandard.at/story/3000000187697/naechtlicher-grossbrand-in-klavierfabrik-boesendorfer-in-wiener-neustadt
貴重な紙の資料が全部行ってしまわれたのではないか・・・。だとするとものすごい損失のように思えるがベーゼンドルファー大丈夫か。ニュースサイトを読むと「アーカイブ全損」とあって、これは覚悟しなければいけないかもしれない。デジタル化がされていたのならいいのですが、(勝手な想像ですが)そこまで手が回ってないんじゃないかな。それから工場そのものは大丈夫だったとはいえ、ものすごい煙が出ていたから煙の匂いとかで製造中の楽器がダメになっていないことも願いたい。
火災の原因はただいま調査中とのこと。
※最新の情報によると、燃えたのはビジネス書類のみで、重要な書類は別の場所に保管されて無事だったとのことです。
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