マイケル・ティルソン・トーマス、タングルウッドで第九を指揮

アメリカの長老指揮者、マイケル・ティルソン・トーマス(77)が脳腫瘍に侵されていて、しかももっとも悪性度が高く致死性の高いと言われる「膠芽腫」(グリオブラストーマ)と呼ばれるもので、余命8ヶ月の宣告を受けたのは昨年の夏のことでした。

しかしその宣告はいい方向に外れている。マイケル・ティルソン・トーマスは先週タングルウッドでボストン交響楽団を指揮し、ベートーヴェンの第九ほかを演奏しました。第九の聴衆は7000名。終演後に6分ものスタンディングオベーションがあったとあります。素晴らしい。

https://www.nytimes.com/2022/08/30/arts/music/michael-tilson-thomas-tanglewood.html

しかもボストン交響楽団のウェブサイトでスケジュールを見ますとですね、

8月27日 20:00
リムスキー・コルサコフ:ドゥビヌシカ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 (ピアノ:アレクサンダー・マロフェーエフ)
コープランド:交響曲第3番

8月28日 14:30
アイヴズ:詩篇第90番
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」

とありまして、2つのプログラムを土曜夜と日曜午後にやるというタフな内容。しかも土曜の午前中には公開リハーサルまでやっている。素晴らしい・・・・素晴らしい。

終演後のレセプションでのコメント「人生の最後の時期に、彼らと、そしてみなさんと再びつながる機会を持てたことにとても感謝している」

オーケストラのメンバー「どうしようもない人だ。自分の病気に負けるつもりがないし、病気であることを気に病むこともなく、ただそこに立っているのです!」

今後も活動を続けることにしており、スケジュールも、来年の夏までは少なくとも入っていて、アメリカ国内の各地でマーラー、メシアン、エルフマン(新作のチェロ協奏曲)などを演奏することになっている。病気と戦いながら新作の勉強をするとかほんとすごい精神力。

手術や治療がうまく行っている、ということなのでしょうか。とは言え疲れを感じることも多く、楽譜を読むのが大変なこともある、とのことですから、病気は常に意識せざるを得ないのでしょうし、自分の死という人生史上最大の恐怖に関して向き合わざるを得ない状況というのは本当にストレスでたまらないと思います。

本人以外にその辛さは分からないですし、安易なことを言うのもはばかられるのですが、これからもただひたすらご健康で、長く指揮台に立たれることを願います。苦しむ人々に力を分け与えて行ってください!

私も多いに力をもらいました。

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