MTTというちょっと変わった、ユニークな愛称で呼ばれる指揮者がアメリカにはいます。丸眼鏡のおっちゃんなんですが、エムティーティーは本人のイニシャルを並べたもの。マイケル・ティルソン・トーマス。
去年の春から進行性のがんという病気と闘っていて、しかも調子は悪くないとのこと。そしていまなお指揮台に立っていて、あらゆる人たちを励ましています。
ロサンゼルスタイムズに最新のインタビュー記事が出ていたので読んでいましたところ、この世をさるまでにやり遂げたいプロジェクトがいくつもあって、作曲に関しては未完成のままになっている作品をを完成させたいというものがあって、そのうちの一つに未完に終わっているShoah Shoahという作品があるんだそうです。
これはどうも広島の原爆50周年式典のために計画されながら完成されなかったもので、Shoahはヘブライ語でホロコーストを意味し、日本語では「昭和」を意味する(響きが近い)。昭和は“明るい平和”を意味する、とインタビュー記事に書いてあり、教養のない私は本当にそういう意味があるのかわからなかったので、念のため調べましたところ「国民の平和および世界各国の共存繁栄を願う」というような意味がある、とありました。
この作品は毎年原爆式典で鳴らされる鐘の音からヒントを受けていて、鐘の音というのは倍音が豊かなので人によって聞こえ方が違う、その鐘の音から聞こえてくるメロディーを引き出す、というような作品のようで「アンネ・フランクの日記から」という自身の1990年の作品と組み合わせたい、と考えているのだとか。
MTTが晩年のプロジェクトとして日本も題材とした作品を書きたいと思っている、というとても印象的です。完成された作品を聴いてみたい!と心から願います。
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