メトロポリタン歌劇場はインフルエンサーたちを招待する。若者たちにオペラへの関心を持って貰おうという試み。

インフルエンサーという言葉がありますね。なにか世の中のトレンドをセットするような感じの、若くて、発信力に優れていて、ソーシャルネットワークでのフォロワーの数がはんぱなく、何か動画をリリースすればいいねが強烈につき、若者たちがそこへ殺到する的な、そして時として危うさも秘めている人たち、そういう言葉だと理解しています。間違っていたらごめんなさい。

世の中、いわゆるメディアの発信力が相対的に弱まってきて、それが正しいかどうかはわかりませんが、代わりにこういう人たちの発言力が強まっている、という風に感じます。ヤフーコメントとかを見ていても、古き良きメディアの発信に対してものすごい逆風が吹いたりすることもあり、なかなか何が何なのか判断の簡単ではない時代になってきました。

我々のような業界においても、変化が求められるのではないかと考えています。変化は必要ですね。マンネリというのは人間がきらうことでありますから。バランスをとりつつね、ということにもなろうかと思うのですが、メトロポリタン歌劇場は客席を満席に出来ていない、であればどうする、ということをみんなで知恵を絞っているんだと思いますが、70人ものインフルエンサーに来て貰って、オペラって、長いし、高いんじゃね?ではなくて、こわくはないし楽しいんじゃね?という発信を自由にしてもらおうというそういう作戦に出たようです。

そしてそれをニューヨークタイムズ紙、いわゆるオールドなメディアが採り上げてさらに報道する、これは実にメタ的なというかアイデンティティのクライシスであるかもしれず、っていやそんなこたあない、ニューヨークタイムズだって面白がってやっているぜ、ということならいいんですが、ともかく企画をする側、チケットを売る側の立場の人間としてはおもろいことしはるな、どういう結果がでますやろうか、という印象です。興味深い。

この記事の中でとても面白かったのは、インフルエンサーの女性たちが、トゥーランドットにはラバが出てくる、と間違った発言をしたときに、ピーター・ゲルブが、それはラ・ボエームでは?たぶんそうだと思うよ。とさらにボケをかましているところで、うっそ、ラバなんて出てくる?なんや、ゲルブ総裁は20年もメトを率いているくせにオペラの登場人物も理解してないんか!と反応したらあなたは負けで、ボエームも見てみたら?ボエームかもよ?でも違うかもよ?と、相手の間違いをさりげなくサポートしている、そして自分も間違ってみせることで、相手の顔も潰さない。そういう配慮なのだ!!

バーン!

ゲルブ氏どんだけすごいんや。私たちも学ばないといけないことがたくさんありますね。そうか、インフルエンサーか。ブツブツ。

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