ああ、ああ。
このああとああには万感の思いが込められていることに気がついた方はどれほどおられるだろうか。いやいないに違いない。
サティの《ヴェクサシオン》というピアノ曲は1ページしかない。だが演奏にはほぼまるまる1日が必要になる。なぜなら840回繰り返すようにという指示があるからである。
イゴール・レヴィットは2020年の5月に一度、オンライン配信でヴェクサシオン・マラソンを走りきっており、確か、途中で飽きた、みたいなコメントを残していたような気がしています。
しかしあれはオンラインだった。今回はライブである、ということで、これはイゴール・レヴィットによる再演でもあり、初の演奏でもあるわけです。
しかしこれ、聴きたい人いる?これはコンセプトが面白いのであって、いわばマルセル・デュシャンの『噴水(泉)』みたいなもんで、はあ、そうですか、と、狐につままれる、というのが正しい体験であって、全部聴く/演奏するといったことはそもそも作曲家も想定していないはずです(勝手な想像ですが)。今回の演奏は16時間ぐらいを予定しているようですが。休憩は途中で入るのか。入るんだろうね。じゃないとピアニストが噴水(おトイレのこと)に行けないよね。
一応、予定としては明日10時にイントロがあって演奏が始まり、終わるのは16時間後とあるので、25日の午前2時頃か。オンラインチケット購入ページをみると、通しチケットはなんと137ポンドもする!2万5000円も払って長時間苦痛を体験しに行くとか、本当に酔狂やな君ら(誰も行くとはいっていない)。
ちなみに1時間チケットもあって、午前10時から1時間刻みでチケットを買えることになっております。1時間32ポンド。たとえ1時間でも6000円を払って苦痛を体験しに行くとか(略)。
おもしろいのは、夜11時以降は予約制ではなく当日券を購入、ただし、1時間の演奏を保証するものではありませんのでそこんところよろしく(つまりいつ終わるか予測がつかないから)、と書いてあるところですね。ちくしょう、微笑しちゃったじゃないか!
さあ、ピアノオタクどもはクイーン・エリザベスホールへ!(私個人としては行くことを強くおすすめしません)
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